第3回「自分のスタイルを探してオランダ・ベルギー・パリへ」

花の勉強を続けるうちに、ふと頭に浮かんだ一つの疑問「私の花スタイルって?」。

花教室を開くのを目指しているけれど、自分はどんな「花スタイル」、「花教室」をしたいのかな?とある時から考えるようになりました。

心に迷いが生じると作品にもそれが表れるのは不思議です。

IMGP6123これまで好きで、楽しくて仕方がなかった花なのに、自分が思うように表現できない、仕上がらない。
お花屋さんに行っても、素直に好きな花が選べない。なんだか違う、全てに納得が行かない・・・と気持ちもすっきりせず、自分の目指すところが分からなくなった時期がありました。

そんな期間が続きあれこれ悩んだ末、数ヶ月間思い切ってお花から離れてみました。

それからその半年後、そんな状況から一歩前へ進みたくて、以前から夢見ていた海外でのレッスンを思い切って受けてみようと、オランダのフラワースクールのレッスンに参加することを決めました。2002年秋のことです。

なぜかオランダ!私には全くご縁のなかった国であり花スタイルです。

初めは、これまで学んできたスタイルを追求できたらとフランスのフラワースクールに参加することを考え準備を進めていたのですが、その準備を進める中で、偶然目にしたホワイトとグリーンの瑞々しい春の花を使ったブーケがオランダ行きを決めました。

正直なところ、たった一枚のブーケの画像で急遽行き先も計画も変更し、わざわざオランダまで行って、もしかしたらその花スタイルやレッスン内容は自分の望むものではないかもしれない、という多少の不安は無きにしも非ずでしたが、一番の目的は、技術の習得より「自分の花スタイル」を探したいということ。

だから逆に全く違う花の世界を見てみるのもいいのかもしれないと思ったのです。

そんな経緯があって行ったオランダのフラワースクールでダッチスタイルを学び、花を学んだ後はベルギー、パリと周りました。まさに花遊学という言葉がぴったりの旅。

image-22お花以外にも、ホームステイ先での現地の方に触れる暮らしや、街並み、歴史ある建造物、芸術、フラワーショップやマーケットなどを見て歩いたことは貴重で有意義な経験と時間になりました。

そして、各国々の空気を感じ一日一日が過ぎていく中で、自分の中で迷っていたことがすっと消え、クリアになっていく気がしました。

フラワーショップも、インテリアショップもカフェも、街を歩く人も、各家庭の窓の飾り一つとってもどれも個性が感じられ、その個性がそれぞれに素敵でとっても印象に残りました。

迷路に入り込んだような心の迷い、どう進んでいいかわからなくなった時、思い切って別の世界の扉を叩き覗いたのがよい「きっかけ」になったのだと思います。
私は、花を学んでいく中で、「自分らしさ」を大切にしていきたいと心のどこかでずっと思っていたのだと思います。

「自分の花スタイル」=「自分らしさ」なのかな、と。

自分の気持ちを整理しはっきりさせることができた旅でした。
そして、日本に戻ったらすぐに花仕事を始めようと心に抱き日本に戻ります。


■コラム執筆者のプロフィール

駒津直美。
東京・品川にてフラワーアレンジメントスクール「ミュゼ・ナオミ」を主宰。
2003年より自宅アトリエにて開校、その後、個展や作品展の開催、さらには2本のウェブコラムの連載を担当するなど活動の幅を広げる。
「季刊ベストフラワーアレンジメント」「季刊プリ*フラ」などにも多数掲載実績を持ち、2014年冬号・夏号では、表紙を飾った。
洗練されたセンスと確かな技術力で、現在人気上昇中のフラワースクール。

→  この教室・スクールの詳細を見る