みなさんは「花の美しさ」を、どのような時に感じますか?
街角の花屋に並ぶ花や、自宅に飾られた花を眺める時、ふと道端に咲く花を見つけた時など、日常のちょっとした場面で花の美しさを感じられる瞬間があるかと思います。
一輪ずつでも美しい花ですが、フラワーアレンジメントにすると、花の種類や色によって季節感が表現できたり、空間をぱっと華やかにしてくれます。そこにあるだけで、癒しの効果も得られますよね。
これまで、花に魅了された人々によって、世界中で多くの花をテーマにした絵画が描かれてきました。
作品を眺めていると「こんな素敵な絵が、自宅にあったらな」と思うこともあるでしょう。
今回は、そのような有名絵画に描かれる花を取り入れたアレンジメントをご紹介します。
あなたの好きな作品は?
花の描かれた絵画と言われて、何が思い浮かぶでしょうか?
花の種類別に見ていきましょう♪
ひまわり
ひまわりをモチーフにした画家と言えば、フィンセント・ファン・ゴッホが代表的ですね。
ゴッホの「ひまわり」は世界に7点あるとされていて、ロンドンのナショナルギャラリー所蔵の作品が最もよく知られています。黄色で覆われた画面に、しっかりとした輪郭線で描かれたひまわりが印象的です。
こちらの作品が描かれた頃、ゴッホは南フランス・アルルに移住し、憧れの画家ゴーギャンとの共同生活を待ちわびる時期だったと言われています。希望に満ちあふれたゴッホの感情を読み取ることができますね。
こちらは、ゴッホの「ひまわり」のように、のびのびと咲くひまわりを使ったアレンジメントです。明るく生き生きとした様子は、私たちに元気を与えてくれますね。
絵画で描かれていたように「ひまわり」とひと口に言っても、種類も見た目もさまざまです。
ひまわりには「ゴッホのひまわり」と呼ばれる品種もあります。半八重咲のひらひらとした花びらが特徴で、花粉が出ないため、切り花のアレンジメントにも向いています。
こちらは明るいレモンイエローのひまわりが、明るくも爽やかな雰囲気です。
使われているひまわりは、「サンリッチライチ」と呼ばれるバイカラーの品種で、淡い黄色からオレンジへのグラデーションが太陽に焼かれたような特徴的な色味をしています。株によって濃淡が異なるので、個性を出したい方にオススメです。
たっぷりのグリーンと合わせれば、清涼感あふれるスパイラルブーケが完成します。
バラ
優雅で華やかなバラは、あらゆる画家の主題となってきました。こちらの作品はピエール=オーギュスト・ルノワールの「花瓶のバラ」と呼ばれる作品です。ルノワールはバラをタイトルに据えた絵画をいくつも制作しています。
バラのみで描くこともあれば、バラとダリア、バラとジャスミンと言ったように、別の花材と合わせた絵画もあり、それぞれに違った魅力が味わえます。
鮮やかなローズピンクのバラに目を奪われてしまいそう。脇を固める同系色のカーネーションやヒペリカムに、しっとりとしたエバーグリーンが落ち着きを添えてくれます。
1輪でも特別感のあるバラですが、こちらのようにブーケにするとボリュームと華やかさが演出できます。
バラは「赤」のイメージも強いですが、純白のバラも素敵ですよね。
こちらは、生徒さんがウェディングブーケとして作られた作品です。白のバラとニュアンスピンクのバラに、シルバーがかったユーカリがアンティーク調のこなれた雰囲気を演出してくれます。
くすみがかったオシャレなウェディングブーケは、最近の流行でもあります。
実は、こちらのアレンジメントでは、アーティフィシャルフラワーとプリザーブドフラワーの花材が使われています。プリザーブドフラワーは元々は生花のため、一見するとフレッシュフラワーのようにも見えます。どちらもリアルな美しさです。
ひとつひとつに味のある絵画のように、オシャレながらも自然な風合いが楽しめますよ。
菊
菊と聞いて、パッと思い浮かぶ作品は少ないかもしれません。こちらは印象派の画家クロード・モネの描いた「菊」という作品です。
「睡蓮」や「積み藁」といった代表作が示すように、屋外での制作をメインにしていたモネの、数少ない静物画と言える作品です。
菊は、天皇家の家紋にも使われるほど、古い時代から日本人に愛されてきた身近な花ですよね。
多くの印象派の画家たちが、色彩や空間表現についてジャポニズムの影響を受けていたように、モネも日本好きな画家のひとりです。
葛飾北斎や歌川広重といった浮世絵師の絵を収集していて、現在でもジヴェルニーのモネの家に保管されているそうですよ。
こちらは花火のような花弁が広がるオレンジの「糸菊」と、白菊や南天を合わせた和のブーケです。
全体を紅白の色どりで揃えて、小さなひょうたん飾りを添えれば、遊び心がありつつもお祝いごとの雰囲気を演出してくれます。
マットな質感のフラワーベースと、繊細な花びらのマムが柔らかな雰囲気を与えてくれるので、上品な和洋折衷のアレンジメントになっています。
チューリップ
チューリップは春を象徴する可憐な花ですよね。シンプルな花と葉の形で、誰からも愛される存在です。
「近代絵画の父」と呼ばれたボール・セザンヌは、静物画を得意とし、独自の感覚と色彩で描いた作品を多く残しています。
「チューリップの花瓶」と呼ばれるこちらの作品も、力強いタッチと色彩の調和が美しく、主題のチューリップに自然と視線が注がれます。
こちらは、伸びやかなチューリップの特徴をそのまま活かしたアレンジメントです。
無造作に挿しているように見えるチューリップですが「交差」と呼ばれるテクニックを使っていて、動きがありながらも作品としてまとまりが感じられるよう配置されています。
長く伸びるチューリップに対して、比較的低めな花材を下部にレイアウトすることでバランスの取れたアレンジメントが作れます。
軽やかなガーデン風スタイルのアレンジメントは、お部屋に心地よい風を運んでくれますよ。
フラワーアレンジメントを通して、花そのものを楽しみつつ美術に親しむ……日常の喧騒を忘れて、アートな世界に浸ってみましょう。
美しい絵画から着想を得た、あなたらしいアレンジメントを作ってみてくださいね。
フラワーアレンジメント教室では、いくつもの花材を取り揃えているので、プロに教わりながらセンス良く美しいアレンジメントが作れますよ。
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