東京港区、南青山・乃木坂のヨーロピアンフラワーデザインスクール【東京フラワーデザイン倶楽部】主宰の吉本敬です。今回は、第4回目最終回となりました。さて、今回は冬にちなんだお話しを。
秋から冬はイベント毎も多いので沢山の事が頭に浮かびます。そんな中でも冬といえば、皆さんもやはりクリスマスが真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。
レッスンでも、クリスマスにちなんだアイテムはとても人気があります。
僕は、この時期に様々な現場で多くのクリスマスイベントを経験してきました。そんな数ある経験の中でも一番の思い出に残る、ドイツで経験したクリスマスイベントの話をこの回で少しお話したいと思います。
2007年の冬、僕は久保数政・ガブリエル久保先生の主宰する花阿彌のインストラクターになりました。そして、その両先生と深い繋がりのある、ドイツのグレゴール・レルシュ先生の元へ、アドヴェンツイベントの制作スタッフとして参加することになったのです。
初めていくドイツ、初めて会うグレゴ先生。期待と……というか不安だらけでしたけど、折角いただいたチャンスなので、ここで行かなかったらいつ行くって感じでしたね。
イベントまでは約1か月。この1か月の間、毎日朝から晩までドイツ人、アメリカ人、オーストリア人、コロンビア人と様々な国の仲間と制作に没頭していました。
僕がインストラクターになった花阿彌でも、ドイツのマイスタースクールと同等のデザインが学べるのですが、グレゴ先生の元で日々制作した作品のどれもが新鮮で、ドイツでの他の仲間達との毎日の制作作業は、何から何まで勉強になり、ある意味カルチャーショックでした。
それでも、ドイツに一緒に行った相棒と、グレゴ先生に日本人の手仕事は細かくて丁寧だと褒められました。当時は、本当にこのまま日本に帰らず、ずっとここで働いていたいと思ったほどでした。
イベントは、グレゴ先生の広大な土地の中にある2つの大きなアトリエを中心に行われます。
当日は、ドイツ中のフラワーデザイナーやフローリスト、その他一般の方まで多くの人が訪れていました。クリスマスに向けて作品を買っていく方や、そしてフラワーデザイン界でも最高峰のグレゴ先生のデザインやテクニックを盗みに来るデザイナー等も多いようでした。
そして、そのアドヴェンツプレゼンテーションという会期中に町の大きなホールで、スペインからのフラワーデザイナー3人とグレゴ先生がデモンストレーションをするという事で、とても楽しみにしていました。
しかしその本番2日前の事です。グレゴ先生から「日本の友達として紹介するから観客の前でデモンストレーションしてみないか」と告げられました。言われた瞬間は一瞬腰が引けましたが、これこそまたとないチャンス!相棒と2人覚悟を決めて本番へ!
本番当日は、1,000人を越す大観衆。
うわあ~こんなに大勢の人の前でやるのかあという緊張が走ったのは勿論ですが、それよりも折角のチャンス。早くステージに上がりたいという気持ちの方が勝っていました。そしてステージ上からみた見た、遠くまで人で埋め尽くされた景色は、なんとも言えない心地良さがありました。
全てのイベントが終わったあとは、多くのドイツの観客の方々に、良かったよ!ビューティフル!などと声をかけてもらいました。
この時の本場ドイツでの経験を基に、季節行事や季節感、またその時代背景や歴史など全てがフラワーデザインを知れば知るほどに大切なんだと感じています。これは決して難しく考える事ではなく、花を、そしてフラワーデザインをより楽しむ為の方法論の一つだと思ってもらえると良いかもしれませんね。
以上で全4回のコラムが無事終了いたしました。拙い文章に最後までお付き合いいただいた皆様と、今回このような機会を与えて下さった、はななび様に感謝とお礼の気持ちを込めて終わりたいと思います。ありがとうございました。
吉本敬