東京港区、南青山・乃木坂のヨーロピアンフラワーデザインスクール【東京フラワーデザイン倶楽部】主宰の吉本敬です。前回第1回目は、僕自身が花の世界へ入ったキッカケと、日本ではまだ馴染みの薄いイースターについて触れてみました。
イースターに限らずですが、お花のデザインを考え制作するにあたって必ずついて回るのが季節感ですね。近年では技術の発達もあり、その季節にしか出会えなかった花でも、通年見たり仕入れたりする事が出来るようになりました。それを良いととるか、季節外れだからちょっとなぁと思うかは、デザイナーやフローリスト個人の判断で良いと思います。
やはりこの日本には素晴らしい四季があるので、季節感を大事に演出することも作り手として大切だと思います。
そして、前回お話した桜やイースターの時期が過ぎると、花業界では母の日が待っています。お花屋さんにとっては、1年で一番忙しい時期といっても過言ではないですね。
母の日といえば、すぐに思い付くのがやはりカーネーションですね。カーネーションも、最近では種類が増え色もカラフルになり、レッスンや花仕事でも大活躍してくれています。
そして、6月になると紫陽花の季節がやって来ます。
紫陽花も、最近はクオリティも上がり、種類によって通年見かけ仕入れられるようになりました。レッスンなどでもアレンジをはじめリースなどにも多く使われています。今やお洒落花材のひとつですね。
紫陽花は、個人的にも愛着のある花です。
僕がこの時期の誕生日ということもあるのでしょうか(^-^)
紫陽花は、生花に限らずアーティフィシャルフラワーやプリザーブドフラワーでも人気の高い花です。種類によって通年出ているとはいえ、やはり6月くらいの梅雨の時期には、紫陽花が思い浮かぶのではないでしょうか。
そして、ジメジメとした梅雨が過ぎるといよいよ夏ですね。この時期は、お花の管理にも非常に手を焼く季節ではないでしょうか。レッスンでも小花系の花を使用するときは要注意です。そしてこの時期は、花だけではなく、見た目の涼しさを演出するのも大事ですね。
レッスンでは骨組みを使ったデザインを取り入れ、その時期の旬の花を使い、いわゆる’涼’を演出することもフラワーデザインテクニックのひとつとして扱っています。涼を演出し花を飾ることによって、同じ花でも楽しみ方が増えるのもフラワーデザインとしての特徴ですね。
素材を生かすという事です。
そして、夏と言えばやはりヒマワリです。ヒマワリは、その存在感が強いせいか、作品作りにおいてはなかなか難しいんですよ。
作品作りにおいては、発想の入り口を何処に持っていくかがとても大切になっていきます。
以前に、絵画からのインスピレーションというデザイン展をやった際に、ゴッホのヒマワリを題材にしました。ネットなどで見つけた、ゴッホのヒマワリの絵をしばらく眺め、自分の感じた事を全て書き出し、更にその書き出した物を絞っていきます。
そこから感じた事を、デザインに落とし込んで出来た当時の作品がこちらです。
僕がゴッホのヒマワリを見て一番に感じたのは、茎があまり描かれていなく、数種類のヒマワリの顔の表情が描かれていること、枯れかかっていたり花びらが半分無かったり……そのようなことが目につき印象に残りました。
勿論、それは人それぞれ感じ方もデザインの起こし方も違います。大事なのは、自分の感じた事をいかに作品として表現出来るかです。
震災の後にも、ヒマワリを使った作品を作った事があります。
どの季節の花にも言える事ですが、それぞれの植物の特徴を捉え、どのような表情を見せてくれるのかを知ることも、デザインの可能性を広げる為の知識として知っておきたいですね。
そうする事によって同じ花材を使っても、様々な展開に発展出来るのではと思います。
次回、第3回は秋にちなんだお話しをしたいと思います。