第3回「秋色恋花」

東京港区、南青山・乃木坂のヨーロピアンフラワーデザインスクール【東京フラワーデザイン倶楽部】主宰の吉本敬です。何とか、第3回目まで辿り着きました。「季節を愛でる」という企画のもと第1回目の春から第2回目の夏までお話しました。第3回目となる今回は、秋です。

まずはコスモス。

コスモスも種類によって夏ごろからも出てますが、漢字で書くと、秋桜というくらいですから、秋のイメージが強いです。秋に咲く桜。素敵な名前ですね。

コスモスは、レッスンでも様々なアイテムに使われます。

僕がコスモスを見ていていつも思うのは、桜もそうなんですが、花弁をよく見ると、うっすら色づいてるとか、ほんのりといったような言葉があてはまるんですよね。このうっすらやほんのりといった表現は、日本独特の表現方法でもありますし、まさに日本人好みなんでしょう。

夏の終わり頃から、コスモスが出回り始めると秋の訪れを感じますね。

秋は、個人的にも一番好きな季節なんです。気候もそうですし、花材も枝物や実物が色々出てきますしね。そして、全体的にオレンジや赤や茶といったような色合いの雰囲気に変化していきます。

いわゆる、紅葉(黄葉)も楽しめるのもこの時期ならではです。

一昨年の、秋に行われたイベント時の作品テーマを「秋色恋花」と名付けました。この第3回目のタイトルにも使わせて頂きましたが、この言葉は自分で組み合わせた造語のようなものです。

楽しかった夏が終わり、その夏の名残惜しさと秋のどこか寂しさを感じる雰囲気を表現したく、そんなタイトルが浮かんだのだと思います。

これは、レッスンアイテムの中にもある作品の応用編といいますか、広く大きく広げた作品です。

レッスンでは、こうした骨組みに対してただ作るのではなく、この骨組みに対してどんな花材をどれくらいの分量でどんな色合いで、なぜこの花材なのかも伝えます。

これまでにも話しましたが、花材の特徴を知りどのようなデザインに適している花なのか、レッスンごとに理解していくことが大切なんです。素敵な土台を作っても、それに合った花材の組み合わせや活け方をしっかり身につけないと、折角の土台も台無しに、なんて事にもなりかねませんからね。

どの季節にも言える事ですが、前後の季節とかぶる時期がありますね。その時に、色々な組み合わせを考えてみると、新しい発見も多々あります。

大事なのは、なるべく花材の好き嫌いを作らないことです。敬遠気味だった花も、デザインや扱い方で好きになったとよく聞きます。もしかするとそれまでは、その花の特徴を捉え切れず適した使い方をしていなかったのかもしれませんね。枝物や実物、蔓性の植物が多いこの季節は特徴を捉えた練習をするのに、とても良い季節かもしれません。

この花の世界は、季節感が大事だと言いました。

その季節に何が行われるのか、どんな花や植物が出回る時期なのか。僕は、秋が好きだと言いましたが、秋が好きな理由のひとつに赤が好きということもあるかもしれません。

 

好きな色があれば、その色からの発想を思い付くままにノートなどに箇条書きし、自分がその色に対してどんな感情があるのか、どう表現したいのかを書き留めるなど、暑すぎず寒すぎない、ほどよいこの秋の時期に、色々と創造すると良いでしょう。

本当に、秋は一番アイディアが浮かぶシーズンなのです。そんな、秋を満喫すると長い冬の時期に変わっていきます。

次回第4回目は秋から冬へ。こちらもお楽しみに。


■コラム執筆者のプロフィール

港区南青山乃木坂にてドイツのマイスタースクールと同等のデザインを学べるヨーロピアンレッスン、様々な素材を生かした植物造形レッスンやワイヤーデザインテクニックを学べるストラクチャーレッスンなど専門性の高いレッスンから、アーティフィシャルフラワーレッスンや気軽に楽しめるコースまで幅広く指導している。

またイベント装飾をはじめとし、オフィスやショップなどの活け込みやレストランウェディングなども手掛けている。
国内外のコンペティションにも積極的に参加し、2010日本フラワーデザイン大賞アレンジ「洋」部門1位。横浜教育委員会賞受賞をはじめ、ベルギーのInternationalFloralArtコンペティションにも作品が掲載される。

近年では、異業種との『楽しくカッコいい』フラワーイベントを企画提案し、花の業界にとどまらず活動の幅を広げている。

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