第5回「花教室の実際と私の想い」

これまでは、花との出会いから花の仕事をスタートするまでを綴ってきましたが、花教室の実際の仕事についても触れてみたいと思います。

さて、コラム5回目にして今更ながらの自己紹介となりますが、家族構成は夫と愛猫の二人と一匹の家族。比較的自由のきく環境です。

IMGP1477花仕事を始めたのは結婚後で、スタート当初から自宅の一室を仕事場とレッスンスペースにした【自宅兼アトリエ】のスタイルで活動しています。

いろいろな活動方法がある中、なぜこの働き方を選んだのかというと、仕事も家事も両方きちんとこなしたい、できれば100パーセント!そんな思いがあった為。

ちょっぴり欲張りなんです(笑)。

自宅というスペースを利用して仕事ができれば、少しでも時間の節約になり、ちょっとした空き時間も有効に使えるのではないかしら、そんな考えからでした。

そして自分なりのルールを決めました。
当たり前のことですが、プロ意識を持つ。恥ずかしくない仕事をする。中途半端にならないようにきちんと仕事とプライベート(家事)を切り替える。などというように。

花教室を主宰していて、「レッスン」で実際に生徒のみなさまと過ごす時間より、準備等にかかる時間の方が圧倒的に多く占めます。
カリキュラムやレシピ作り、デザイン考案、花市場への発注、早朝の市場での仕入れ、水あげ作業、お花の管理、資材の発注に仕入れ、レッスンの準備に片づけ、事務作業・・・たくさんの仕事があります。

IMGP8340aお花をアレンジしたり、楽しいおしゃべりをしながらのティータイム・・・、自宅教室と言うと何かと優雅なイメージが先行されがち。

憧れてこの仕事を始めたけれど実際の花教室の裏側や現実を知ってイメージと違うとショックを受ける方もいらっしゃるのも事実です。

早起きは当然、冬は寒いし、手は荒れるし、実は重労働。
一人で運営している場合、変わりがいないのですから体調が悪くても寝込んでなんていられません、病気になんてなっていられません。

こんな言葉を並べると、花教室を開きたいと夢を抱いている方の背中を押すどころか、イメージダウンですね。ごめんなさい。
けれどそういったことをきちんとやることで、レッスンにいらしてくださる皆様だけでなく自分自身の喜びにもつながるのです。

IMGP1807「可愛い」「素敵」「リフレッシュできた」などの生徒のみなさまからの一言や、笑顔をいただけると、ああよかったと心から喜びが湧き上がります。

レッスンにいらして下さる方の目的は様々ですが、どのような方にも、「楽しんでいただくこと」を一番に願っています。

純粋に花を楽しめる時間と空間を提供できたらと、カリキュラムやデザイン、レッスンタイトル、花選びなど考えています。
いかに、いらして下さる皆様にとって特別な時間になり、喜んでいただけるか、その為には、裏のお仕事は欠かせないとても大切なこと。

様々な工夫や準備、それに伴う自分自身のお勉強も日々欠かせません。

季節を感じる喜び、色合わせの楽しみ、デザインする楽しみ、表現する楽しみはもちろん、花やお道具を丁寧に扱うこと、植物を愛で最後まで楽しむこと。

私の師事した先生方々からは、植物の知識やテクニックだけなく様々なことを多く学ばせていただきました。

これは、教室を運営していく中での私の基本姿勢にもなっていますが、みなさまにとって、毎日のくらしの中で、「花を飾ること=特別なこと」ではなく、「自然であり日常的なこと」になったら嬉しいなと思いながら、日々花の仕事をしています。


■コラム執筆者のプロフィール

駒津直美。
東京・品川にてフラワーアレンジメントスクール「ミュゼ・ナオミ」を主宰。
2003年より自宅アトリエにて開校、その後、個展や作品展の開催、さらには2本のウェブコラムの連載を担当するなど活動の幅を広げる。
「季刊ベストフラワーアレンジメント」「季刊プリ*フラ」などにも多数掲載実績を持ち、2014年冬号・夏号では、表紙を飾った。
洗練されたセンスと確かな技術力で、現在人気上昇中のフラワースクール。

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